出版社:講談社
刊行年:1997.07.15
定 価:2,000円(税別) 
ISBN:4062085526
四六版 447p
装 丁:多田和博

 


『OUT』
『OUT』 弁当工場の夜勤パート主婦、雅子は同僚の殺人事件に加担することに。死体の処理に困った雅子は、バラバラにして生ゴミで捨てた。坂道を転がるように、犯罪の陥穽に滑り落ちていく主婦たち。
クライム・ノベルの金字塔。
日本推理作家協会長編賞受賞作品。

作者のコメント
 『水の眠り灰の夢』を書いた後、ミロ・シリーズの第三弾として『柔らかな頬』を書くことになっていました。取材も終わって書き始めたのが、95年の終わり頃でした。が、これがどうしてもうまくいかないのです。編集担当者が代わったせいもありましたが、書き始めから迷っている。書き終わって読んでも面白くない。でも、どこがどう悪いのかもわからない。担当者も気に入らないと言うし、で途方に暮れました。
 ミロが依頼を受けて、失踪した子供を捜すことになるという話だったのですが、ミロという第三者が入ることによって、子供がいなくなった夫婦の核心に迫れない気がして苛立ちました。750枚書きましたが、二回直した時点で担当者とペンディングにすることに決めました。私は自分でやめた、と思っていて、担当者は自分がボツにしたと思っている。互いに駄目だと思ったのでしょうが、その人とはソリが合わないし、腹立たしさと無力感でいっぱい。完全なスランプでしたね。それに、『水の眠り灰の夢』を一生懸命書いたのにぱっとしないというか。ミロがどんどん嫌いになってて、もっと自由に書きたいという思いでいっぱいでした。でも、どうやって書くんだ、みたいな。
 で、死体をバラバラにした主婦対死体解体業の中国マフィアが歌舞伎町で戦う、というアイデアを出したら、それは面白い、それいこう、というノリになりました。それからが大変でした。パート主婦にするのはいいけど何のパートにするか、とか。その時、新聞で見た弁当工場の夜勤主婦パートの実態という記事が決定的でした。これしかない、と思った。96年の夏からしこしこと書き始め、脱稿したのが97年の春先。8カ月かかりました。体重が五キロも減って、物凄く苦労した作品です。何が苦労したかって、それは不安との戦いでしたね。失敗じゃないかという不安。皆に置いていかれるという不安。このままもう作家として駄目になるんじゃないかという不安。この時、支えてくれたのが件の担当者。気が合わないと思ったのに、こういう時は実に頼りになる人でした。リスクを一緒に負ってくれたことが嬉しかったですね。
(インタビュー・構成 ミッシー鈴木)

  第51回日本推理作家協会長編賞受賞

テレビドラマ
  『OUT』
1999年(共同テレビ/フジテレビ)
出 演:田中美佐子、飯島直子、柄本明、哀川翔、渡辺えり子、原沙知絵

『舞台化』
  『OUT』 自転車キンクリーツカンパニー
2000年11月29日〜12月10日
(東京 全労災ホール・スペースゼロ)
2000年12月14日〜12月17日(大阪 近鉄少劇場)